本当は、あのときフレイを連れていくべきだったんじゃないかって、後悔してるんだ。

 オーブに着いたとき。艦長がちょっとの間ならって家族に会う時間を作ってくれただろ? キラは船に残ってたっけ。俺達、フレイには言わないで艦を下りたけど、たぶんフレイは何してたか分かってたんだろうな。
 そういう俺達向けの……何て言うんだろうな、連合の命令とかじゃなくて、ただ正規の軍人じゃなかった俺達になにか連絡があったときは、艦長はなるべく全員を集めて話してくれてたよな。男子だけとか女子だけとか、そういうこともあったかもしれないけどさ。オーブに行ったときのは、その場に当然フレイはいなかった。……フレイの家族がおじさんだけだって話したこと、ちゃんと覚えてくれてさ。
 そのとき、俺はラミアス艦長に聞かれたんだ。
 フレイさんの親類は、オーブにいらっしゃる? って。
 フレイはひとりでーー十年ほど前から婚約することが決まっていた俺のいるって理由もあったんだろうけどーーオーブのカレッジに転入してきた。血のバレンタインが起こされたことで、ジョージさんがまず危惧したのは大事な一人娘の命ってわけだ。当然だよな。フレイは母親に似て可愛いって、ジョージさん、何回も言ってたし。本当に可愛がって、大事に育てられてた。目に入れても痛くないって、本当にそんな表現ばかり当てはまると思うよ。
 だから、ジョージさんが殺されてショックだったのもわかるし、コーディネイター皆が憎く思えた気持ちもわかるんだ。……フレイは所謂穏健派だったけど、ブルーコスモスではあったし、あんな状況だったから。フレイの家がそうって知ってるし、オーブにだっているだろう? コーディネイターはたくさん。フレイは彼らを積極的に排除しようとはしなかったし、ユニウスセブンではミリィたちと花を作ってたって聞いた。キラに対してはああだったけど……フレイだけじゃないな。俺もたくさん酷いことして、悪かったよ。
 話を戻すけどさ、俺があのとき、うちに……俺の家族と過ごせばいいだろって連れていって、アークエンジェルから離れた場所に残って貰ってたら、何か変わったんじゃないかって思えてさ。オーブも攻められたし、絶対に安全な場所だったとは言えないけど……あんな、暗い場所で殺されるのは、避けられたんじゃないかとか、おもっちまうんだ。

 こんなこと言い続けて何だけど、キラを責めたいわけじゃない。ただ、フレイのこと、話しておきたかったんだ。彼女のことを全部……いや、フレイじゃなくて俺の話だけどさ、話せるのは、もうキラしかいないから。